オダサク

みなさんは「オダサク」を知っていますか?
夫婦善哉」や「可能性の文学」といえばピンとくる人もいるかもしれません。

オダサクこと織田 作之助(おだ さくのすけ)は、1913年(大正2年)10月26日生まれの大阪出身の作家で、満33歳という短い生涯に100編を超える優れた文学作品を残しています。
太宰治坂口安吾と並んで無頼派と呼ばれ、戦後まもなくの文学界において一世を風靡しました。
代表作の「夫婦善哉」は、何をやってもダメな柳吉とそれを献身的に支える蝶子との不幸ながらもユーモアのある情緒豊かな夫婦の物語です。
とてもテンポのよい人情噺で、そこにはなんだかとっても“関西風”が感じられます。


◆「夫婦善哉 請求記号SB/840/



◆「可能性の文学」 請求記号904/8/



オダサクはまた、「軽音楽の大家」を自称していました。
義太夫節や三味線の音色に幼少から親しみ、歌手ディック・ミネの流行歌を口にするかと思えば繊細優美なクラシックにも通じていて、携帯用の蓄音機を持ち歩いていたとも言われています。
20歳の時に書いた文芸誌の劇評で、サラサーテ作「ツィゴイネルワイゼン」のメロディーの素晴らしさに触れていたり、小説「秋深き」にはフランクの「ピアノ五重奏」、京都・西木屋町ダンスホールを舞台にした『土曜夫人』にはアルゼンチンタンゴの名曲「ラ・クンパルシータ」が登場します。また「道なき道」はバイオリンを巡る父娘の芸道一筋の物語が描かれています。
そしてわが大阪音楽大学付属図書館では、大栗裕作曲のオペラ「夫婦善哉」を所蔵しています。
音楽に造形の深い織田作之助の描く世界に大栗裕自らも共感するものを感じたのでしょう。


そんなオダサクが今年2013年に生誕100年を迎えます。
地元大阪では彼の青春時代にスポットを当てた舞台の上演や「夫婦善哉」のテレビドラマ化など、生誕100年という節目の今年、様々な記念事業が企画、検討されているようです。

みなさんもぜひ、この春、大阪の文学や芸術に触れてみてください♪



nini