図書館長のお勧め図書:6月

金子建志:「ベートーヴェンの<第9>」

請求記号 762.34/B2/121a


 かなり、オタクっぽい内容なので、万人におすすめというものではありません。しかし、楽譜というものの持つ意味、楽譜から現実の音へという、演奏家に課せられた使命の重大さに気づかされる読み物です。ただし、堅苦しいものではなく、古文書(というほど古いものではありませんが)の分析・校閲のプロジェクトをストーリー的に読んでいる雰囲気があります。

中野 雄:「モーツァルト 天才の秘密」

請求記号 BS/487/


 モーツァルトの略伝のような読み物ですが、筆者独特の切り口で、モーツァルトの作品とそれが生み出された時空間を活き活きと描いています。新書版ですから、手元に置いてモーツァルト・ガイドブックとして私は利用しています。

DVD/LD「不滅の恋 ベートーヴェン

請求記号 DVD A274


 ベートーヴェンの『不滅の恋人』はだれか、という謎を、彼の作品をちりばめながらドラマに構成した映画です。史実を経糸(たていと)に、作品を緯糸(よこいと)に織り上げられた物語絵巻は、事実ではないかも知れませんが、説得力のあるドラマになっています。終盤の「弦楽四重奏曲 作品135」終楽章冒頭の「Musses sein?」(かくあるべきか?)、「Es musssein!」(かくあるべし!)をこれ以上ないほど効果的に使うドラマメイキングに、個人的にはハマりました。ベートーヴェンの生涯や人間関係などに多少の知識があると、より深くドラマを堪能できます。