越年の愉楽 ウィーンの夢

今年も残りわずか。
年末…。テレビや街の動きに煽られ、なにかとあわただしく心が毛羽立ってきます。
風邪をひかないように、あわてて怪我をしないように…注意が必要ですね。



 さて、年末が「旬」の音楽作品といえば、ヨハン.シュトラウス(1825-1899)作曲の喜歌劇「こうもり」。大晦日のハプニングがもとで繰り広げられる「ドッキリ」の劇場版、楽しいオペレッタです。まったりと甘美なウィーンの音楽はいかがでしょう。ヨーロッパの歌劇場では年末にしばしば上演される作品です。

請求記号 766.2/44/

 


 ウィーンの年越しでも定番。世界で最も格式の高い劇場のひとつ、ウィーン国立歌劇場では近年、年末年始に豪華な「こうもり」が上演されます。
〔左の画像はウィーン国立歌劇場の客席〕
 オーケストラも超一流、ウィーン国立歌劇場管弦楽団のメンバーがウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を構成しているのです。12月31日19時開演のジルベスター公演はチケットが早々と完売する特別な公演で、ロビーや客席は着飾った観客で一段と華やかになります。コクのあるウィーンの音楽、パフォーマンスに酔いしれジルベスターの公演が終わる頃、普段静かなウィーンの街は新年のカウント・ダウンに繰り出した人で大騒ぎになっています。
クリスマスの飾り付けが美しい極寒の街中、温かいワイン(Glühwein)を片手に新しい年明けを待ちます。新年と同時にズドーンと花火の音、そして歓声、爆竹の音の隙間から教会の鐘の音。寒いのも我慢して深夜まで新年の喜びを共有しあいます。朝になり、夕べの騒ぎが嘘のように、静かなウィーンに戻ります。

〔下の画像はウィーン国立歌劇場の夜景〕






 元日のお昼過ぎには、世界中のファンが待ち焦がれるウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートが、華麗なムジークフェライン(ウィーン楽友協会 写真左)で開催されます。衛星生中継され、日本でも毎年新年恒例の番組になっていますね。
この年末年始の「こうもり」の指揮者はフランツ・ウェルザー=メスト(Franz Welser-Moest)、そしてニューイヤー・コンサートの指揮者はマリス・ヤンソンス(Mariss Jansons)の予定です。
 






幻影のようなひと時の喧騒、劇場、美術館、ウィーン料理、ワイン、ビール、スイーツ…。
ウィーンの年末年始は楽しさ満杯です。

陰翳もウィーンの魅力。観光ガイドブックとは一味違ったウィーンを知る本はいかがですか。

請求記号 209/17/8

 

 ここで、「こうもり」のおすすめのCD、鬼才といわれた指揮者・カルロス・クライバーが指揮の名盤(1975年)。当時の評判「音楽のあまりの楽しさに体が勝手に動きだす」、この躍動感は今も褪せることはありません。ウィーン風の演奏ではありませんがC.クライバーの切れ味のいい音楽が楽しめます。 (C.クライバー指揮/バイエルン国立歌劇場管弦楽団・合唱団)


請求記号 CDA47-III



喜歌劇「こうもり」 シャンパンを讃えながらの大団円。
今年の楽しかった事に乾杯!
2012年。 みなさまにとって素晴しい年になりますように。

お詫び
当初の記述の中で、ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートの指揮者に誤りがございました。
お詫びのうえ、訂正いたします。
H.O